達治の詩集『測量船』には二つの大きな特徵が見られる. それらは自分の生をもとにした色濃い抒情と傳統美の追求である. 本稿では彼の詩の中で初期の詩「추のうへ」「乳母車」「春の岬」「雪」の四篇を中心としてその詩篇の持つ抒情の意味を考察してみた. 「추のうへ」は<花びら><をみなご><み寺>の三つの詩語を中心とした유纖細な表現及び緻密さが詩として成功を遂げている. 「乳母車」は詩的話者を幼い子として設定しては母を呼んでいる. その展開過程で詩人は想像の空間を創り出す資質を遺憾なく發揮する. この二篇は達治の三十年余りの詩業で見れば, 詩人としての一人立ちの爲の實驗詩の性格を持つと言えるし, また詩人の自己省察も感じられる. 「春の岬」は短歌と同じ形式の文語體で書かれたので, この詩を『測量船』の卷頭においたのは傳統詩の繼承者としての達治の意志を表わしたのだと言える. 「雪」は單純な傳統美の繼承者としての詩人の意味だけでなく, 彼の詩語を通して現代人にゆたかで, あたたかい詩情を表現することによって, 達治の詩についての美學が感じられる詩であると言える.