本稿は「だろう」の論理的な性格を明らかにし、「だろう」の「確認要求」と二つの用法を統一的に說明しようとするものである。 一般的に、「だろう」には命題か「眞」であるための根據が存在しないといわれているが、根據を前提にして導き出す「蓋然的推論」を表す場合も使え、「だろう」の有する「蓋然性」はこの蓋然的推論によって生じるものであることを指摘しようとする。 特に、醫者の診斷や天氣豫報などの文脈では「だろう」を「にちがいない」と置き換えられない現象が見えることや、確信度を表す「きっと」「たぶん」等の副詞との共起制限なしで用いられるという現象が見えることから、「だろう」が蓋然的推論の一種である「類推」を表す機能をも持つとした。この場合「ようだ」「らしい」と交替できないことを確認、この特徵を「だろう」だけの固有の性格とした方が妥當であることを張する。 最後に、「確認要求」の場合の「だろう」は旣情報が前提になっている場合に用いることができ、その点で類推を表すrだろう」と共通する意味領域を有するとする。