日本語における談話展開の方法の地域差は、話者が情報內容を效果的に傳えるために相手に送る談話標識にも反映されていると考えられる。そこで、筆者は、各方言の高年層話者が說明的場面において、どのような談話標識をどのように使用し、話を進めていくのかを談話標識の出現傾向を分析することで明らかにしてきた。また、方言の硏究において、このような地域差とともに重要な柱として位置づけられている世代差について高年層、若年層を取り上げ、考察した。今回は、同じ宮城縣方言に含まれるが、談話展開の方法において違いが認められると予想される仙台市若年層と白石市若年層の談話展開の方法を比較し、日本語における談話展開の方法の地域差の一端を明らかにした。その結果、談話標識の出現頻度では、白石市若年層に比べ、仙台市若年層は發話權取得·維持形式である『ダカラ』、情報共有確認形式である『デショ一(↗)』を多用し話を進めていることが分かった。それに對して、白石市若年層は說明開始·累加形式である『ソレデ』の使用が仙台市若年層より若干多かった。また、談話標識の組み合わせパタ一ンでは仙台市若年層では『發話權取得·維持』(ダカラ)を行うパタ一ンが多いのに對して、白石市若年層では『說明開始·累加』(ソレデ)を行うパタ一ンが多いことが明らかになった。このような傾向は琴(2004、2006)における仙台、白石市高年層の結果とある程度類似性が認められる。これらの二地域の詳しい比較やさらに地域を廣げ、日本語における談話展開の方法の世代差や地域差を明らかにしていくことが課題として殘されている。