本稿は動詞に接續する「ところへ」の意味と機能について分析·考察したものである。特に、往來の硏究であまり取り上げていない、空間を表す場合から狀況を表す場合への發展經路といった觀点で記述することを目指した。その結果は以下のようにまとめられる。現代日本語の動詞に接續する「ところへ」は大きく次のような6つの場合に分けることができる。①空間的意味のみを表す場合は樣樣なタイプの前接動詞と決まったタイプの述語が用いられる。「Vところへ」は述語の支配を受け、「へ格」として동く。②空間的意味と狀況的意味の兩方を表す場合は具體的動作を表す前接動詞と移動動詞の述語が用いられる点では共通するが、空間的意味か狀況的意味かで異なる特色を見せる。空間的意味の場合は述語の支配を受け、「へ格」として동くが、狀況的意味の場合は述語の支配を受けず、「Vところへ」全體で形態が固定化する。③心理的狀況を表す場合は抽象的動作や狀態を表す前接動詞と移動動詞の述語が用いられる。「Vところへ」は述語の支配を受けず、「Vところへ」全體で形態が固定化する。④具體的狀況を表す場合は具體的動作を表す前接動詞と移動動詞以外の述語が用いられる。「Vところへ」は述語の支配を受けず、「Vところへ」全體で形態が固定化する。⑤付加·添加のニュアンスを持っている場合は抽象的動作や狀態を表す前接動詞と移動動詞以外の述語が用いられる。「Vところへ」は述語の支配を受けず、「Vところへ」全體で形態が固定化する。⑥名詞述語の場合は原則的に用いられないが、出現性を持った「頻發だ」のような名詞主語は使用できるようである。以上の①~⑥を總合すると、「Vところへ」という形態が空間を表す「へ格」をとった形式名詞から狀況を表す「Vところへ」全體の形態へ固定していく發展經路を明らかにすることができる。この經路には、①前接動詞と述語のタイプ(タイプの變化)、②格體系(へ格から「Vところへ」全體の形態への固定)、③「Vところへ」と述語との關係(支配の有無)といった側面が總合的に關わっていると言える。