本稿では韓國と日本で最近放映されたTVドラマに現れる韓·日兩國人の敬語行動の樣相を分析して兩國人の對人意識の共通点や相違点を見いだしそれぞれの特徵を取り上げてみる。敬語行動は話者の對人意識によって行われるのであるが, その對人意識の決め手になる要因は多樣である。 韓國語は話者の心理的判斷よりも決められた要因により敬語行動が行われるといえる。家庭では家族間の上下關係, 學校では先生と學生という世代差と先輩後輩の上下關係, 職場では職位の上下, それ以外の一般關係では年齡の差が敬語行動の決め手になる。公·私の區別などの場面に對する配慮は優先的で, 親疎關係などの外の要因による敬語行動を抑制することもある。取引上の役割, 力關係はあまり敬語行動に影響を及ぼさないし, 媒體を通した間接對話は直接對話時の敬語行動とほとんど變らない。韓國語の敬語行動は決められた要因によるといっても, 初對面などでは丁寧體を用いて聽者の心理的緊張感を和らげる必要がある。なお, 韓國語では聽者の前で話題の人物のことに言及するとき, 話題の人物が年齡あるいは社會的に自分より上位者でありながら待遇に相當する年齡の者であれば, 內か外かの區別は問題にならない。この際話者は聽者の品位と場面に對しても配慮する。 日本語は, 職場では上下關係に充實した敬語行動が行われるが, それ以外の場合は各集團の中の上下關係よりは聽者に對する話者の心理的な判斷や配慮が優先していると言える。日本語の場合は取引上の役割や力關係は敬語行動に影響を及ぼす。直接的な對話より媒體を通したほうがずっと丁寧になるし, 公私の區分など對話の場面に對する配慮は敬語行動をきめる重要な要因になる。親疎關係は敬語行動をきめる要因になるが, これも話者の心理的親疎によるところが大きい。このように日本語においては相手に對する話者の心理的判斷は敬語行動に重要な要因となり, 心理的に遠く感じるほど敬意度が高くなるといえる。また, 日本語では話題の人物が自分側か相手側かによって敬語行動がかわってくるが, この際も聽者との心理的距離感や場面に對する配慮の上で行われる。